GNHで行くインドの旅 インドの中のチベット世界 ~キナウル地方のみどころ:ランプールからカルパ~

キナウル地方はスピティ谷への入り口となる地方。緑色のフェルトを付けたこの地方独特のキナウル帽をかぶった人々の姿が見られるこの地域には聖山キナウル・カイラス(標高6,050m)がそびえている。
チベットのカイラス山(カン・リンポチェ)にいるシヴァ神は冬の間、このキナウル・カイラスにやってくると言われている。
ヒマーチャル・プラデーシュ州の州都シムラから車を走らせること約8時間。サトレジ川沿いの険しい道をひた走るとキナウル地方の入り口・レコンピオに到着する。
キナウル (1)キナウル (2)











ランプール

シムラからカルパやレコンピオに向かう際、ちょうど約半分の行程にある大きな街がランプール。食堂や商店が数多く立ち並ぶ街のバス停のすぐ近くに新しい僧院が建っている。
ここはまだキナウル地方には入っていないが、シムラを出て初めて目にする仏教僧院がランプール・ゴンパだ。
■ランプール・ゴンパ
今あるゴンパは2005年に再建されたもの。元々この場所には創建年代不明の古い僧院が建っていた。
その昔、ランプールの王様は跡取りに恵まれず困っていた。
多くの人に話を聞いて回ったところ、この場所に仏像や経典を集めて僧院を建てると万事うまく行くというお告げがあり、その通りにこの場所に僧院を建立したところ、男の子が産まれたという。
今ある新しい僧院には2006年にダライラマ14世法王も訪れている。
地下1階、地上3階建のこの僧院を管理している僧侶は1名のみ。
スピティ谷のタボ・ゴンパから一年交替でランプールに派遣され、この僧院を守っているとのことだ。
ランプール (1)ランプール (3)

※地下1階
この僧院を管理している僧の部屋があるのも地下1階。小さなお堂のご本尊は3世仏。その下には小さな像が多数納められている。
この地域の住民は仏教徒ではなく、ヒンドゥー教徒が多いのだが、家族がなくなった際、その供養のため自分たちで仏像を作るという文化が残っている。
ただ仏教徒ではないため自分たちではきちんと扱うことが出来ず、この僧院に預けたものだそうだ。
その左手に納められいる文殊菩薩、観音菩薩、阿弥陀の像は非常に古いものらしく、この僧院の創建当初にチベットから来たものらしい。
ランプール (22)ランプール (23)

※1階(トンギュール・ラカン)
トンギュールとは”100万”の意味。壁一面が四天王や十六羅漢、21ターラーやグル・リンポチェ、シャカムニの仏画で埋め尽くされたこのお堂の中心には巨大なマニ車。
マニ車を回すことにより一度に100万回ものお経を唱えたことになるため、この名前で呼ばれている。
ランプール (17)ランプール (10)

※2階、3階(テンギュール・ラカン)
2階と3階は非常に簡素な作りで、テンギュールをはじめとする多くの経典が収められている。
面白いのは3階に納められているシャカムニの像。ソファに座っているこの像は2006年にダライラマ14世法王がこの僧院を訪れた際に頂いた仏像とのことだ。
ランプール (34)ランプール (37)











サラハン

この地域独特の建築様式で建てられた寺院の中で最も有名なのはサラハンのビーマカーリー寺院だろう。
このビーマカーリー寺院があまりにも有名すぎる為見逃しがちだが、多くのヒンドゥー教徒が巡礼に訪れるこのサラハンにも小さな仏教僧院が建っている。
サラハン (4)サラハン (2)

■サラハン・ラカン
ビーマカーリー寺院が建つサラハンの街の中心から少し下がった場所に建つ小さな寺院。
正式名称は”カルマ・ドゥプテン・タンナン・リン”。この寺院も新しく創建されたもので、1名の僧侶がこの場所を守っている。
ご本尊はブッダ・シャカムニ。その右手にジャムゴン・コントゥルル・リンポチェの玉座が置かれている。
サラハン (20)サラハン (11)サラハン (17)サラハン (16)






















バスパ・サンラ谷

シムラからサトレジ川沿いを走り、カルチャムのダムを右へ。バスパ川沿いを続いていく道路はここからバスパ・サンラ谷に入っていく。
春には杏の花で彩られるチベットへと続くこの谷の、自動車道路の最終地点がキナウルの文化を色濃く残すチトクルの集落。
万年雪を頂く高峰を望むこの集落はカルパから日帰りで訪れることができる。
バスパ・サンラ谷バスパ・サンラ谷 (6)

■サンラ : 標高2,680m
カルパから車で約2時間半。チトクルへと続く道路沿いに突然現れるのがサンラの街。
春には周囲を美しい杏の花で埋め尽くされるこの街。キナウル・カイラスの南面を望むこの街には大きなバザールがある。ゲストハウスもいくつかあるのでここに宿泊することも可能だ。
サンラ (2)サンラ (3)

■チトクル : 標高3,450m
サンラから約1時間半。急激に標高を上げていく道路の最終地点がキナウルの文化を色濃く残すチトクルの集落。80家族、約600人がこの最奥の集落に住んでいる。
この集落に暮らす人々は仏教とヒンドゥー教を同時に信仰しており、ゴンパにお参りする日もあれば、ヒンドゥー寺院(マンディール)にお参りする日もあるという。
集落にはキナウル地方の伝統的な家屋が建ち並び、その横には長く厳しい冬に備えて穀物を備蓄しておく、木造の穀物庫が建てられている。
集落の中心には一際目を惹く新しいヒンドゥー寺院が建ち、一番奥にはぱっと見たところヒンドゥー寺院かと見間違うような小さな仏教寺院が建っている。
チトクル (2)チトクル (3)

※チトクル・ゴンパ(ブッダ・ゴンパ)
創建は1000年前にも遡ると言われているドゥクパ・カギュ派の小さな寺院。僧侶は一人だけおり、この寺院を管理している。
ご本尊は小さなお釈迦様の像。この像は過去3度盗難にあったことがあるらしく、誰も発見することが出来なかったが、しばらく経つと仏像自らこの寺院に戻ってきたと言われている。
非常に厳密に管理されており、たとえ仏教徒といえでも部外者は寺院の内部拝観は許可されていない。本当に運が良くなければ内部には入ることは出来ない寺院である。
チトクル・ブッダゴンパ











レコンピオ

レコンピオはキナウル地方で一番大きな街。スピティ谷へ行くのに必要なILP(Inner Line Permit)もこの街で簡単に取得出来る。
バザールは大きく必要な物は何でも手に入る。オフシーズンにスピティを訪れる予定の人はこの街である程度の物を買っていくことをお勧めする。
街にもゲストハウスは何件かあり、キナウル・カイラスの姿を望むことは出来るがせっかくここまで来たのであれば、この街ではなくカルパまで足を延ばすことをお勧めする。
レコンピオ (1)レコンピオ (3)
■カーラチャクラ・ラカン(オ・サ・リン)
1992年にダライ・ラマ14世法王がここでカーラチャクラ潅頂を行った後、この場所に寺院を建立するための資金を寄付され、その資金を基にキナウル地方の高僧であるガ・リンポチェが建立した。
レコンピオの街を見下ろすようにして立つ黄金のお釈迦様の立像が一際目を惹く寺院。ダライ・ラマ14世法王によってオ(光)・サ(透明な)・リン(場所)という名前が付けられた。
内部は非常に簡素で、ご本尊はお釈迦様の像。その左手にカーラチャクラのタンカとダライ・ラマ14世法王の手形が収められている。
お釈迦様の右手に収められている仏像はパンデン・ラモ。お堂内部右手の壁にはガ・リンポチェの写真が掲げられている。
外には一際目を惹くお釈迦様の立像が建っており、僧院前の小さなお堂には向かって右手がガ・リンポチェ、左手にはネギ・リンポチェ(チベット人はクヌ・リンポチェと呼ぶ)の座像が納められている。
カーラチャクララカン (1)カーラチャクララカン (11)カーラチャクララカン (4)カーラチャクララカン (6)






















カルパ

レコンピオから約30分。どんどん標高を上げていくと聖山キナウル・カイラスを眼前に望む小さな集落に到着する。ここが標高2,960mのカルパの集落だ。
春は杏やリンゴの花が咲き乱れるこの小さな集落は新しく造られたレコンピオの街とは違い、チベット色が強い場所。集落の中心には小さな僧院とヒンドゥー寺院が建ち、街の至る所に五色のタルチョがはためいている。
カルパ (4)カルパ (1)カルパ (2)カルパ(3)

■カルパから見る山々
A:キナウル・カイラス(6,050m)
B:ジョル・カンダン JOR KANDHN (6,480m)
C:ラルダン・ピーク RALDANG PEAK(5,500m)
D:シヴリン(5,000m)
 ~シヴリンは”シヴァ・リンガ”の意味。高さ26.3mの自然の岩柱が頂上に立っている。
   この柱は太陽の光を受けて朝・昼・晩とその色を白・黒・緑・赤・オレンジの五色に変化させる。
カルパの山カルパの山(1)

■カルパ・サムドゥプ・チョリン
大翻訳官ローツァワ・リンチェンサンポが全チベット圏に建立した108の僧院のうちの一つと言われるこの僧院。
残念ながら火事で焼失し、現在あるのは約50年前に建立された比較的新しい建物。
ドゥクパ・カギュ派のこの僧院を統括しているのはラダック・へミス僧院のチョゴン・リンポチェ。
ご本尊は非常に珍しい玉で造られたお釈迦様の像。左手には観音菩薩、右手にはグル・リンポチェが鎮座している。堂内部の右手の壁にはお釈迦様の一生が描かれているが、非常に珍しいのはその説明がヒンディー語で書かれていること。内部を埋め尽くす壁画はダライ・ラマ14世と共にチベットから逃れ、この僧院を再建したラマによって描かれたらしい。
カルパ・サムドゥプチョリン (1)カルパ・サムドゥプチョリン (2)









▲ページTOPへ
「キナウルの見どころ:カルパからチャンゴ」
■「インドへの旅」 トップページへもどる