GNHで行くインドの旅 インドの中のチベット世界 ~キナウル地方のみどころ:カルパからチャンゴ~

カルパからサトレジ川沿いの道路を北東へ。カルパを出てすぐはまだ緑を目にすることが出来るが、徐々に風景は変わり、荒涼としたチベットらしい景観が広がってくる。
ジャンギ(オフシーズンはアクパ)の街でインナーラインパーミットのチェックを受け、ムーラン等の集落を眺めながらしばらく走ると左手にプーの集落が見えてくる。
カルパ~プー (2)カルパ~プー (1)











プー

サトレジ川沿いの道路を外れしばらく登っていくと標高2,837mのプーの集落に到着する。
この辺りから住民はチベット系の顔立ちをした人々が増え、街の中にはマニ水車やマニ壁、リクスムゴンポのチョルテンなどチベット色が色濃くなってくる。街の中には小さなお堂が二つある。
プー (2)プー (1)

■ラン・ラカン(ローツァワ・ラカン)
プーの集落で一番重要な寺院。創建年代は不明だが、ここは大翻訳官ローツァワ・リンチェンサンポによって建てられたゴンパの一つ。地元の人々はこのお堂のことを「ローツァワ」と呼んでいる。
ドゥクパ・カギュのこの寺院内部は修復されかつての仏画は残っていないが、ご本尊であるお釈迦様の奥に描かれたマハーカーラやパンデン・ラモは素晴らしく一見の価値あり。
珍しいのは通常、お堂の外に描かれる六道輪廻図がお堂内部に描かれていること。その他ドゥク派の84人の高僧が描かれている。
プー・ローツァワ (2)プー・ローツァワ (1)

■プー・タラン・ゴンパ
ローツァワ・ラカンからさらに奥へと進んでいくとタラン・ゴンパに到着する。
ゴンパと呼ばれているが僧侶はおらず周辺の住民が鍵を管理している。
このお堂も非常に古い創建らしいが詳細は不明。現在は完全に修復され内部の仏画も新しい物。各尊格や仏画の説明が英語で併記されているのが面白い。
プー・タラン (2)プー・タラン (1)











ロパ

プーからチベット国境へと向かう道路を走り、スピティ川とサトレジ川の合流地点の少し手前を右手に。春には杏の花が咲き乱れるこの渓谷を走りどんどん標高を上げて谷の奥へと向かい、ギャブン、スナムの集落を超えた一番奥にあるのがロパ村。
場所が場所だけに訪れる人がほとんどいないこの村にも新旧2つの僧院が建っている。この村には年に一度だけご開帳される非常に貴重なチョルテンがある。このチョルテンはその昔チベットの高僧がツァンパを捏ねて5つのミラレパの形をしたチョルテンを作り、自分の髪の毛を埋め込んで法要をした物。
チベットからインドへと運ばれる際に管理していた僧侶がこの近くで力尽きて倒れ、この村に納められることになったそうだ。
高僧が埋め込んだ髪の毛は今でも伸び続けているらしく、以前は周辺の人々がお参りに来て、ミラレパの生まれ変わりという事で髪の毛を抜いて持ちかえっていたらしい。その為、今では年に一度だけご開帳されるようになったとのことだ。
ロパ (1)ロパ (2)

■ロパ・ゴンパ
集落の入り口近くに建つ2009年に修復・再建された新しいゲルク派の僧院。
中心にはダライラマ法王の玉座がありお釈迦様やツォンカパ、観音菩薩などの像が納められている。
新しい僧院だが壁に描かれた仏画は非常に細かく描かれ、素晴らしい物。内部に掲げられた幾つかのタンカも一見の価値あり。
ロパゴンパ (2)ロパゴンパ (1)

■ローツァワ・ラカン
キナウルの文化を色濃く残すロバの集落の中心に建つ一見するとヒンドゥー寺院と見間違ってしまうような建物がローツァワ・ラカン。
その名の通りローツァワ・リンチェンサンポの創建によるものと伝えられている。
小さなお堂の内部には塑像や仏像が所狭しと納められており、ナコのツクラカンと似た雰囲気を持つ非常に見ごたえのある素晴らしいお堂だが、鍵を管理している村人が村にいることは非常にまれ。
本当に運が良ければ内部参拝出来る可能性もあるので、時間に余裕があれば立ち寄ってみるのもよいかもしれない。
ロパ・ローツァワ (1)ロパ・ローツァワ (2)











ナコ

スピティ川がサトレジ川に合流する地点で橋を渡ると今まで東へと走ってきた道路はチベットとの国境沿いを北に向かいスピティ谷へ向かう。
橋を渡り、急激に標高を上げていった先にあるのがチベットの文化や影響が色濃く残るナコの集落。
標高3800m程のナコ村には約900人の村人が住んでおり、街外れのナコ湖も併せ非常に雰囲気の良い村が広がっている。
冬場は積雪等のため閉まっているゲストハウスも5月以降徐々にオープンするので、是非一泊してゆっくりと散策したい場所だ。
ナコ (1)ナコ (2)

■ナコ・マニ・ラカン
ナコの集落の外れ、ナコ湖の近くに建つ小さなお堂。名前の通り内部には巨大なマニ車が置かれその左右にはシャカムニと十一面観音菩薩の像が納められている。
内部の壁一面には仏画が描かれているのだが、保存状態が良くないため判別不可能なのが残念なところ。
小さなマニ車を回しながらこのお堂の周囲をコラする村人の姿はここがチベットのすぐ近くにある敬虔な仏教徒の村であることを実感させてくれる。
ナコ・マニ (2)ナコ・マニ (1)

■ナコ・ゴンパ
11世紀前半に大翻訳官ローツァワ・リンチェンサンポによって建てられたこの僧院。
2009年に建てられたドゥカンの他は創建当初から幾多の修復を経て今に残る4つのお堂を見ることが出来る。
特にローツァワ・ラカン(ツクラカン)とその向かいに建つローツァワ・ラカン・ゴンマ(ターラー・ラカン)は必見。
素晴らしい仏教美術を堪能することが出来る僧院だ。
※お堂内部の写真撮影は一切禁止されています。これらの写真はリンポチェの許可を得て特別に撮影させていただいた物です。
ナコ (3)ナコ (4)

※ローツァワ・ラカン(ツクラカン)
創建当初から残るこのお堂。内部に入りその暗さに目が慣れてくると、素晴らしい仏教美術の数々が目に飛び込んで来る。
後の代に修復され色が上塗りされているため、一見すると新しく見える壁の塑像は大日如来をご本尊とする金剛界五仏。
左手奥にあるゴンカンの入り口上部には般若波羅密仏母の塑像、右手にはグル・リンポチェの像が二つ。
お堂の左右の壁には大日如来ご本尊の大きな金剛界マンダラが描かれている。
このローツァワ・ラカンはお堂自体が一つのマンダラを表しており、あたかも自分自身がマンダラの一部となり、その中に身を置いている事を実感することが出来るだろう。
ナコ ツクラカン (4)ナコ ツクラカン (1)ナコ ツクラカン (3)ナコ ツクラカン (2)

※ローツァワ・ラカン・ゴンマ(ターラー・ラカン)
”ドル(ドルマ:ターラーのこと)・セル(黄色)・ラカン”の名を持つこのお堂。
その名の通り正面のイエロー・ターラー塑像とその左右の薬師如来の変化でもある8仏陀の塑像が一際目を惹くお堂だ。左右の壁にはローツァワ・ラカンと同じく大きな大日如来ご本尊のマンダラが描かれており、堂内には小さな仏像が数多く納められている。
これらの小さな仏像はランプール・ゴンパに納められている像と同じく、村人が故人の供養のために作ったものを僧院に納めたもの。その一つ一つの作りは粗いが、村人の想いがこもった素晴らしい仏像だ。
ナコ ターラー (1)ナコ ターラー (2)

※ギャ・パグ・パイ・ラカン
保存状態があまり良くないのが本当に残念だが、堂内部一面に素晴らしい壁画が描かれている。
描かれているのはブッダ・シャカムニやヴァジュダーラー、ツェパメやマハーカーラー等。
ナコ ギャパブ (2)ナコ ギャパブ (1)

※カルジュン
僧院の敷地に入ってすぐ左手にある古いお堂。”カル”とは”白”のこと。
その名の通り白壁に覆われた小さなお堂だ。残念な事に保存状態は非常に悪く、内部の壁画も正面の物は判別不可能。左右にはアミダと千手千眼十一面観音が描かれているのがかろうじて見られる。お堂入り口のドアフレームの彫刻も必見。
ナコ カルジュン (1)ナコ カルジュン (2)

※ドゥカン
僧院敷地内の一番奥にある2009年に新しく建てられたお堂。
お釈迦様や観音菩薩、グル・リンポチェの像のほか、ソマン・リンポチェの玉座が置かれている。
ナコ ドゥカン (2)ナコ ドゥカン (1)











チャンゴ

ナコの集落を出て崖沿いに造られた険しい道をスピティ川沿いまで下りさらに北へ。キナウル地方とスピティ谷の境界となるスムド手前の大きな集落がチャンゴだ。
標高3658mのこの集落はこの地域には珍しいニンマ派が主流の村。下記以外にもグル・リンポチェがご本尊の二つの古いラカンがある。
チャンゴ (1)チャンゴ (2)

■チャンゴ・ラカン
チャンゴの集落の中心にある大きな岩の上に建つ古いお堂。
創建年代などの詳細は不明。内部にはアミダやラマの新しい像とチャンチュプ・チョルテンが納められている。
周囲の壁には古そうな多数の尊格の壁画が描かれているが、保存状態が良くないため判別不可能なのがおしい。
チャンゴ・ラカン (2)チャンゴ・ラカン (1)

■チャンゴ・チョモ・ゴンパ
正式名称は”カムツァン・トゥブテン・オセル・ラブギェリン”。集落の最奥、村を見下ろす丘の上に建つ尼僧院。
カルマ・カギュ派のこの尼僧院では夏季には120名程の尼僧が修業に励んでいるらしい。
ご本尊は弥勒菩薩。お堂内部には多くの尊格の像やタンカが納められている。
お堂の中に置かれているのはタイ・シトゥ・リンポチェの僧院の模型。タイ・シトゥ・リンポチェは第17・18代カルマパの転生者を見出したリンポチェ。模型の横にある玉座はそのタシ・シトゥ・リンポチェの玉座だ。
1996年6月20日にダライラマ法王もこの場所を訪れている。
チャンゴ・チョモ (1)チャンゴ・チョモ (2)

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