こんにちは。
今日もいらすとやさんのかわいいイラストからイメージをして、次にどこへ行こうかと思いを馳せていただきたいと思います。
今回は国名は最初にお教えしますので、どこの地域(州)かをぜひ当ててみてください。今回は、私が特段に好きな場所のため、ヒントを含めマニアックな仕上がりになっていますが、みなさま、頑張って想像して下さいね。それでは参りましょう~。
国土面積は日本の約9倍、人口は世界2位の約13億人を超える大国。それは、天竺、バラット、印度、INDIA、そう、インドですっ。
インドの北西端にあり、国土総面積の約6パーセントと狭い州ですが、国内で最も工業が盛んな地帯で国内生産の約四割をしめ、日系企業の工場も進出していたり、高速鉄道の建設が始まったりと開発と発展が進んでいる場所です。南側と西側は海で囲まれ、アラビア海を通じ古代より貿易で栄えています。工業が発展し現代的な一面がある一方、今でも人々はとても伝統を重んじる生活を好み、相反するような双方を上手に結び付けて暮らしているユニークな地域です。
●自然災害を乗り越え続く伝統工芸
昨年2019年は大量のバッタが発生し、過去25年で最悪の農業被害にみまわれました。2001年には州西部でマグニチュード7.7の大地震で2万人以上の人が命を落とし、その際に伝統的な泥づくりの家屋ブンガや、手工芸の工房が壊れる被害がありました。数は減っても、それでも伝統技術を廃れさせないようにと、手工芸の工房の職人が残っています。インドでは国内各地で、民族衣装や手工芸が発展していますが、素晴らしい手工芸品を数多く見ることができます。特にカッチ地方では国内でもトップレベル、いや世界的に見ても屈指の技術でしょう。
刺繍は、数十種類のスタイルがあり、裏地からは糸が見えないものや、ミラーを埋め込んでも表面がスムースであったりと、驚くべき繊細さで調整をします。染めは、絞りや草木染、ブロックプリントや、藍を使ったアジュラック、ローガンペイント、織ではダブルイカット(経緯絣)は染め上げた糸をたてよこピッタリに織り上げ、どれも素晴らしい技術が光ります。また、普段使いのものはパッチワークなどで補強し、遊朴や放牧生活の中で大切に使っている様子もよく見かけます。アーメダバードにあるキャリコミュージアム(更紗博物館)は、アンティークのテキスタイルが展示される世界有数の博物館です。
●アジアライオンの生息地
ライオンと言えば、アフリカ大陸をイメージしますよね。しかし、この州にあるササン・ギル国立公園には、アジア最後のアジアライオン(インドライオン)が暮らしています。アジアライオンは、かつてはイラン~インドの地域でも広く生息し、メソポタミアやペルシャ文明のレリーフにも彫られていました。近年では減少し絶滅寸前となりましたが、国立公園で保護され、数も少しずつ増えてきました。インドは、トラとライオンのどちらも自然観察することができる唯一の国なのです。
●インダス文明から現代まで
エジプト文明、メソポタミア文明、中国文明とならぶ古代四大文明のインダス文明は、紀元前25世紀頃に発展したと言われています。インダス文明が栄えた場所は、ハラッパー遺跡やモヘンジョ=ダロ遺跡(共に現パキスタン)がありますが、インド側ではカッチ湿原に浮かぶカーディル島でドーラーヴィーラー遺跡が1967年に発見されました。ここからはインダス印章が発掘され、海上交通が発達していたことがわかりました。数千年を経た今でも港が発展し、工業地帯となり、海上貿易で栄えています。
ドーラーヴィーラー遺跡へのアクセスとなるカッチ地方では、放牧をして暮らす人々の姿や女性の手仕事の様子を見ることができます。
●階段井戸
インドやパキスタンの乾燥地帯のエリアでは、階段井戸があります。井戸は井戸でもただ単に貯水目的だけでなく、貴族たちが涼みに集ったり、また水の神聖性を高める寺院としても発展していきました。何層にもわたり階段状になっていて高度な技術を用い、美しい彫刻が彫られ、世界遺産に登録されているものもあります。
●近代建築を見学
世界の名だたる建築家の建築物を、アーメダバード近郊の都市を中心に見学することができます。ここで見学できる三大建築家といえば、ル・コルビジェ氏、ルイス・カーン氏、バルクリシュナ・ドーシ氏。「近代建築の巨匠」ル・コルビジェ氏は、世界遺産にも登録された東京・上野にある国立西洋美術館で有名ですね。ルイス・カーン氏は、隣国のバングラデシュ国会議事堂を手掛け、バルクリシュナ・ドーシ氏は建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を2018年に受賞。そんな巨匠たちの建築を一度に見ることができる、近代建築に興味のある方には抜群の町です。
●インド独立の父とその精神
この州の出身者には「インド独立の父」マハトマ・ガンディー、「インド産業の父」タタ・グループの創始者ジャムシェトジー・タタ、現在ではナレンドラ・モディ首相がいます。ご存じのようにガンディーさんは非暴力・不服従の独立闘争を展開して、1947年に英国からインド独立を果たしました。市内にあるサーバルマティー・アシュラムは彼の活動拠点で、実際に使用された品や手紡ぎ車チャルカ、部屋も残されています。実際に訪問をすると、とても質素な生活をされていたことがわかります。ここは「塩の行進」のスタート地点にもなりました。
●インドで最初の禁酒州と独特な料理
ガンディーさんは飲酒を厳しく律していたと言われ、その習慣に習い禁酒州としたとも言われています。旅行者は指定の場所で許可証をもらうことでお酒を購入できます。また伝統的なヒンドゥー教徒やジャイナ教徒も多いため、ピュアベジタリアンのお店も多いです。肉・魚・卵、野菜は根菜類(たまねぎやにんにく)も使用せずに作る、この州の伝統料理は以外にもバラエティ豊か。インド国内では珍しく、甘い味付けのカレーもあります‼お隣の州はラジャスタンのため、ラジャスタン料理もよく食べられています。
さて、どうでしょうか…州名はちょっと難しかったでしょうか?
ご紹介したのは、インドの「グジャラート州」です。ナマステ・インディア!(こんにちは、インド!)。
記事のタイトル「アラビア海に浮く亀」というのは、グジャラート州の北部カッチ地方を指し、カッチは現地の言葉で亀を意味する「カチボ」が語源とされています。確かに地図を見ると、まさに亀が逆さまになっている姿に見えます。その形から、モンスーンの時期は塩沼となり、独立した孤島になるというのがよくわかります。
お隣のラジャスタン州に比べると、訪問する人は少ないのが実情ですが、グジャラート州は華やかなのに質素で、近代的なのに伝統的で、見るものがたくさんの大変魅力的な場所ですよ~。
キトト
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