こんにちは。
毎週月曜日に更新しているブータンの見どころ紹介。第五回目の今日は「見どころ」というよりも「見動物」。
ご存じ首都・ティンプーにあるブータンの国獣・ターキンの保護区をご紹介します。
ブータンの国獣・ターキン。
ターキンはウシ科に属した動物で、ニホンカモシカの仲間。ブータンの他、中国のチベット地域周辺やインド北東部、ミャンマー北部で群れを作って暮らし、ヒマラヤの山々はもちろん国境をも越えて生息しています。
ちなみにターキンは国際自然保護連合のレッドリストに登録されている絶滅危惧種なのですが、ミャンマー北部の山岳地帯やお隣インドのアルナーチャル・プラデーシュ州では貴重な栄養源として大切にされているとかなんとか。。
標高1,000メートルを超える竹林やシャクナゲの森の中に住み、湿気や露を好むらしく、夏は標高4,000メートル周辺の草地のエリアまで登ります。
好きな食べ物は樫やシャクナゲ、竹の葉など。ブータンにはターキンの好物がたくさんありますね。
モティタン・ターキン保護区
ブータンの首都ティンプー・モティタン地域には国会議員の公邸や高級住宅が立ち並ぶエリアがあり、そのエリアを通り抜けさらに山の奥の方へ進んでいくとモティタン動物園(ターキン保護区)があります。現在は数頭のターキンが飼育されているだけですが、訪れた観光客は広い敷地の柵の外からターキンや他の動物の姿を観察することができます。
このターキンの誕生にはこんな言い伝えが残ります。
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15世紀にドゥクパ・キンレイと言う、ユニークな経歴を持ち数々の奇跡を起こす不思議な力を持つ聖人がブータンを訪れました。
彼は聖人である一方、狂人とも呼ばれるほど独特な力を持っていました。今までのブータンの主流とは異なる礼儀で寺院を参拝し古く汚れた衣を着ていたため、信心深い人たちの中には彼の方法に疑いを持つ人もいたそうです。
ある日、ブータン全土から人々が集まり集会が行われた際に食事がふるまわれました。
その場である村人は彼に対し「あなたが本物のドゥクパ・キンレイならば、その不思議な力を見せてくれ」と挑発をしました。
そこでドゥクパ・キンレイは座ったまま、昼食のためにまるまる一頭の牛と山羊を連れてくるように要求しました。
そして彼は肉を全部食べて骨だけを残しました。驚異的な食欲です。彼は食事に大満足し大きなゲップで食事を終えました。
食事が終わった後、彼は牛の骨の上に山羊の頭の骨を置き、ぱちっと指を鳴らしました。
すると突然骨が空中に浮かびあがり、身体は牛、頭は山羊の形になり、今まで見たことのない動物の姿の影が浮かび上がったのです。
最後にその骨に肉体がつき今まで見たことのない奇妙な姿の動物が立ち上がりました。
ドゥクパ・キンレイはその動物を牧草地に放つように言いました。この様子を見た村人は大変驚きドゥクパ・キンレイの力を信じたのです。
この動物がターキンであると言われています。
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この逸話のため、ブータンの人々は「ターキンはドゥクパ・キンレイのミラクルによって誕生した動物」と信じています。
本当に不思議な力を持った動物なのです。
そんなターキンの性格は基本的におっとりとしていますが、危機が近づくと400キロ以上ある巨体を俊敏に動かし、大きな蹄を使って山岳地帯でもカモシカ並みの速さで走ります。
たまにこんな感じで喧嘩をしているところも見かけますが(笑)。
モティタンのターキン保護区ではブータン人の家族が「オィターキン」と呼びかけ、できるだけ柵の近くに来てもらうよう頑張っている姿を見ることもあります。
現在、ターキンの人工交配は行われていないそうですが、運が良ければ春(3~5月ごろ)には赤ちゃんターキン出会える可能性があるかもしれません。
近くから確実にターキンを見るには、1日に3回の餌やりの時間のうち、朝か昼の時間に合わせて訪れるのがいいでしょう。
一般的なティンプー観光の日程にはほとんど組み込まれているはず。ブータンを訪れたらぜひこの愛らしい不思議な動物・ターキンを見に行ってくださいね。
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